今昔物語について
2015/05/16
私が好きな古典文学に一つに「今昔物語」があります。
この今昔物語は、芥川龍之介をはじめ多くの作家がこれを素材として色々作品を書いています。
この今昔物語には、インド、中国、そうして日本の説話が集められていますが、私がこの今昔物語が好きなのは一般庶民の生活が描かれているからです。
貴族階級の生活は「源氏物語」をはじめ色々な古典文学でうかがい知ることができますが、当時の一般庶民の生活はどのようなものだったのかは、絵画などでは知るとこがきでても、もっとリアルには知ることがなかなかできません。しかし、この今昔物語を読むと当時の一般庶民のリアルな生活をうかがい知ることができて、より一層の想像力をかきたててくれるのです。
この今昔物語の中で私が好きな逸話の一つ。
これは黒澤監督の名作「七人の侍」でリーダーとなる「勘兵衛」が子供を人質にとり小屋に立て籠もった盗賊を取り押さえる場面にも使われた逸話です。
ある武士の家に盗人が入ったが、家人に見つかりその家の小さな子供を人質に取り、小屋に立て籠もりました。その家の武士は取り乱し、主君の館に助けを求めて駆け込みました。(武士の家でも、自分の小さな子供が人質に取られると取り乱すところは、現代と同じですね)
その武士の主君が源頼信です。
頼信は家来の武士の取り乱しているのを笑いながら…「子供みたいに泣いてどうする。子供一人くらいの命などどうでもよいと思うくらいの気構えが無いと強き武士とはいえないぞ」と言いながらも、家来の為に太刀をもって家来の家に出向きました。
そうして、無事に子供を取り戻しその盗賊も捉えたのですが、当時の武士の気構えが想像できる逸話です。
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