マイナンバーが他人に知られたら、「なりすまし」で悪用されるのでは?
2016/11/03
2016年1月から開始された「マイナンバー制度」ですが、行政手続や税金関係などで利用されるようになります。
就職時(アルバイトやパートで働く場合でも)や退職時、会社の年末調整、確定申告、各種手当の申請時、厚生年金の受給開始申請時など、仕事や日常の生活のさまざまな場面で必要となります。
さらに、このマイナンバーは銀行口座をはじめ、色々な分野で使われるようになるようです。そうすると心配なのは、自分のマイナンバーが他人に悪用されるのではないか…という不安です。
自分のマイナンバーが他人に知られると、自分に「なりすました他人」に悪用されるのではないのか?…という不安を検証するには、マイナンバー制度がすでに導入されている国の事例を見てみるのがよいかもしれません。
このマイナンバー制度と同様の制度は、ほとんどの先進国では導入されています。アメリカでは1936年に導入されており、ヨーロッパでもほとんどの国で利用されています。
それぞれの国により運用の仕方は多少異なりますが、日本のマイナンバー制度の参考にはなると思います。
■アメリカの社会保障番号制度(マイナンバー制度)における悪用の事例
アメリカでは1936年から導入されている「社会保障番号制度(マイナンバー制度)」ですが、悪用される事例も多いようです。
その悪用例をあげますと、
・他人のナンバーを盗み、そのナンバーを利用して仕事をする
・死んだ家族になりすまし年金を不正受給する
・他人のマイナンバーの売買
・自分が知らないうちにクレジットカードが作られていた
・他人になりすまして携帯電話や公共料金の契約や支払い、自動車の購入など
アメリカでは80年ほど前から「社会保障番号制度(マイナンバー制度)」が導入されていますが年間3%程度の人が自分のマイナンバーを悪用されて、「なりすまし」の被害を受けているそうです。
日本の場合はマイナンバーのみで本人確認することを禁止しているのですが、しかし、関係する「企業、団体、個人」が必ずしも規制の内容を遵守するとはかぎりません。
※日本の「マイナンバー制度」では、本人確認は「マイナンバー」と「運転免許証など顔写真付きの証明書」によりおこなわれる事になっています。
■自分のマイナンバーが「なりすまし」に悪用されないようにするには
自分自身のマイナンバーが悪用される事を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか?。
・自分のマイナンバーは必要な時以外は「知らせない、教えない、見せない」ようにする
マイナンバーが通知されると、希望者にはプラスチック製の「個人番号カード」が無料で交付されます。
この「個人番号カード」は、あなたのクレジットカードや運転免許証と同じくらいに大切なものですので、もしカードを紛失した場合は個人番号カードの利用停止の手続きをしてください。(2016年1月に、24時間対応のコールセンターが解説される予定)
レンタルショップなどで会員証を作る時に「個人番号カード」を本人確認に利用する場合などにはあなたの「マイナンバー」が書かれている「裏面」をコピーさせてはいけません。
あなたの「個人番号カード」のマイナンバーが書かれている部分は、すぐにはがせるシールなどで番号を隠しておく工夫もしたほうがいいでしょう。しかし「個人番号カード」は、このような場合には使わないようにした方が安全です。
・電話でマイナンバーを聞かれても教えないこと
電話を利用した還付金詐欺などと同じで「還付金を受け取るためにはマイナンバーが必要」などといって、マイナンバーを聞き出そうとする詐欺電話がある可能性もあります。
・顔写真をむやみにインターネット上などに公開しないほうが安全です
最近はネットのSNSなどで自分の顔写真など個人情報を公開するケースが多いですが、むやみに自分の顔写真を公開するのは控えたほうが安全です。
「マイナンバー制度」では、本人確認は「マイナンバー」と「運転免許証など顔写真付きの証明書」によりおこなわれるのですが、あなたの顔写真も大切な個人情報なのです。
・民間企業では、マイナンバーを使用することはできません。民間企業があなたのマイナンバー聞き出そうとする場合は注意してください。
※勤務先であなたのマイナンバーを聞かれるのは「源泉徴収票などに記載するため」ですのでこのケースには当てはまりません。
マイナンバーは社会保障、税、災害対策分野の中でも、法律や地方公共団体の条例で定められた「行政手続」にしか使えません。
具体例としては…
「児童手当の現況届の際」に市町村にマイナンバーを提示する。
「厚生年金の請求の際」に年金事務所にマイナンバーを提示する。
「源泉徴収票などに記載するため」勤務先にマイナンバーを提示する。
「法定調書等に記載するため」、証券会社や保険会社などにマイナンバーを提出する。
・「マイナポータル」で自分の個人情報のやりとりを確認する
平成29年(2017年)から「マイナポータル」というインターネットを利用して「自分の個人情報のやりとり」を確認することができるようになります。
この「マイナポータル」では、自分の個人情報を「いつ、誰が、なぜ」提供したのか、また行政機関などが持っている自分の個人情報の内容をネットで確認できるようになります。自分で自分自身の情報が不正に使用されていないかチェックするようにしましょう。
しかし、この「マイナポータル」を通して、あなたの個人情報を盗み見られる事もあるかもしれません。
■マイナンバーによる「なりすまし被害」を防ぐには
マイナンバー制度による、あなたの「個人情報」の流出や、あなたの「なりすまし」による被害を防ぐには、役所や勤務先の手続きに必要なとき以外、他人に「マイナンバーを教えてほしい」と求められても絶対に教えないことが大切です。
しかし、「個人番号制度」先進国であるアメリカの例を見ても、「個人番号」流出による犯罪は後を絶たちません。日本でも、官公庁や民間企業からの「個人情報」の流出は頻繁に報道されていますが、「マイナンバー制度」が始まると、あなたのマイナンバーが流出する可能性もあるのです。
マイナンバーによる「なりすまし被害」を防ぐには、自分のマイナンバーは「流出していない」という前提ではなく、自分のマイナンバーは「流出している」かもしれない、という前提で対策を立てたほうがいいでしょう。
つまり、あなた自身のマイナンバーを利用して「なりすまし」が「いるかもしれない」という前提で、自分のマイナンバーによる「個人情報」のやりとりを「マイナポータル」などでチェックするようにしましょう。
また、見に覚えのない税金(住民税や贈与税等)の請求など、なにか不審に思ったらそのままにせず、その原因を自分で調べるということが「なりすまし被害」を防ぐためにはより大切になります。
■他人があなたのマイナンバーを使って「なりすます」ことはありえるのか?
アメリカの例を見ても、他人の「個人番号」を利用して「なりすまし」の犯罪が多いように、これからは日本でもこの様な犯罪は当然あると考えておくべきです。
これからはアルバイトやパートで働く場合にも、勤め先に自分の「マイナンバー」を提示しなければならないのですから、今後はあなたのマイナンバーを利用すればするほど、それを悪用されるリスクも高くなるということです。
さらに、現在は行政手続や税金関係などでの利用に限定されていえますが、今後は「マイナンバー」を銀行口座をはじめ医療など色々な公共サービス等に「ヒモ付」される予定です。
振り込め詐欺やネット経由での個人情報の大量流出など、個人では防ぎようの無い巧妙な犯罪が増える現在、他人のマイナンバーを利用してどのような犯罪がおきるのか予想もつきません。
アメリカのように「社会保障番号制度」として長い実績のある国の犯罪事例を参考にして、日本でも同様の犯罪が起きる可能性を前提に個人が注意していくしか方法は無いようです。
■マイナンバーに関しての疑問や苦情、何か困ったときの相談と問合せ先一覧
⇒http://oyajika.com/1996.html
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